本山茶産地の土壌について
茶の風味を左右する要因は土壌、気象条件、標高、品種、栽培法、摘取りの時の芽合い、被覆の有無、製造法などと言われます。この様な多くの要因が関係する為、お茶は産地ごとに異なった風味を持つ事となります。
中でも全国の茶産地の土壌はおおよそ下記のように分類されます。
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土壌 |
面積 |
(1)
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火山灰土壌 |
約20,000ha |
(2)
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洪積層の赤黄色土 |
約20,000ha |
(3)
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洪積層の火山灰黒ボク、赤黄色土で第三紀層、中生層、古生層など |
約2,000〜4,000ha |
本山茶産地は(3)に含まれます。(古第三紀層に含まれる土地が主となっています。)
(3)の土壌は全国比でたった、10パーセント(4,000ha/20,000ha)しか無い事がお解りになるでしょう。このわずか10パーセントの土地で生産されるお茶は独特の風味を持つものが有ります。私はこの風味を「余韻の有る香り」と呼んでいます。(土壌中に含まれるミネラル分が影響しているのでは無いかと思われています。)
上記10パーセントの土壌の条件を満たし、なおかつ、お茶が育つのに適した気象条件であること。(川を近くに持ち、寒暖の差の大きな山間地である事も重要です。)
この条件が「本物のお茶」を作る為の条件中の「天」と「地」にあたります。
そして、当たり前の事ですが「天」と「地」が揃っても、茶の樹が植えられていなければお茶は出来ません。どんなに良い土地であっても、そこでお茶の生産から流通に関連する真面目な人々がいなければ良いお茶は出来ないのです。お茶の樹を育て、嗜好品としての「本物の茶」にまで作り上げるのは「人」なのです。
「天」「地」「人」の全てが揃う事が困難である事は想像に難く有りません。「地」そろえる為に、(1)や(2)の土壌の茶畑に(3)の土地の土を運ぶ生産家さえいます。気象条件は変えようも有りません。「人」たる私は「天」と「地」に恵まれた事を感謝しながら真面目な気持ちでお茶に臨んでいます。
「本物のお茶は本山茶産地に有り。」
お茶を楽しむ人々の口にこの言葉が、当たり前のように語られるような時が来るよう頑張り続けます。