お茶にまつわる周辺知識

「普通蒸し煎茶と深蒸し煎茶」

 日本茶における「蒸し製」の緑茶には「普通蒸し煎茶」と「深蒸し煎茶」と呼ばれる物が有ります。「普通蒸し」と言う言葉はあまり馴染みが無いかも知れません。ちょっと不思議な気もしますが「深蒸し煎茶」と言う言葉が出来た故にそれと区別するように「普通蒸し煎茶」の呼び方が出来ました。つまり、深蒸し茶が出来る以前は「普通蒸し煎茶」という呼び名は無かったのです。

普通蒸し煎茶
深蒸し煎茶

お茶はなぜ蒸すのでしょう?

蒸す理由は3点

  • 酸化酵素の活性を止める。
  • 生葉の持つ青臭さをとる。(殺青---さっせい)
  • 葉を柔らかくして揉みやすくする。

 結果、この条件を満たした時点で蒸すのを止めたのが「普通蒸し」さらに蒸し時間を長くとったのが「深蒸し」と呼ばれる事になります。蒸し時間は標準的な普通蒸し煎茶の5割増から2倍程度となり、茶葉が壊れ易くなるため製品は粉が多いものとなります。※上の拡大写真を御参考下さい。

 「深蒸し煎茶」は抽出の良さと濃い緑色の水色、(尚、浸出液の鮮やかな緑色は、茶の微粒子が「懸濁=けんだく」している為です。)お茶をいれる水の善し悪しに影響されにくい事、苦渋味が弱くなる特徴があります。

 ただし、お茶の持つ「香り」が薄れてしまう事や欠点が無いわけではありません。また産地によっても向き不向きがあり、「日当たりのよい里で作られたお茶」(牧ノ原のような大規模な茶園が有名です。)は深蒸し茶に向き、「日照時間の短い山間で作られたお茶」(本山茶産地など)は普通蒸し茶に向く様です。山間地の茶の特徴はその香りに有りますから「香り」を生かす普通蒸しが適している事になるのです。また「普通蒸し煎茶」は「水色」が澄んだ透明感の有るものとなり、沈殿物も少ない傾向に有ります。


次ページでは

普通蒸し煎茶と深蒸し煎茶を実際にいれ比べてみました。

お茶の違いについて御参考下さい。

普通蒸し煎茶」と「深蒸し煎茶」
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