Nishikien.com 茶専門店 錦園石部商店  店主 石部健太朗(日本茶インストラクター#02-0362) お茶にまつわる様々な事柄。〜owner's talk〜 
titel 静7132〜さくらかおり〜(その1)
 「さくらかおり」。この名前は以前におつき合いのありました東京の日本茶喫茶でのメニューにつけられていた名前です。※諸事情により2004年5月に閉店。スタッフとお客様との距離感が心地よい素敵な喫茶店でした。

 さて、さくらかおりの使用品種は「静7132」。錦園のサイトではよく目にする品種です。茶園では太い茎と紅い芽が特長的。(葉と茎のバランスは見るからにお茶にするのが難しそう。)

 振り返ってみれば、静岡市を流れる安倍川の東、俵峰で2000年に初めて出会いました。当時、静7132の「霜知らず」という俗称を生産家に聞き「ああ、霜害に強い品種なんだろうな。」と思った記憶があります。

 実際、比較的遅場所で霜害に会いやすい条件の俵峰へ霜に強い品種として今から30年ほど前に導入されました。(製品にするのが難しい事や、個性的な味香りの為に別の品種に改植されてしまったものも少なく無かったようです。)今でも俵峰のあちらこちらには静7132の茶園をみつける事が出来ます。 

 山桜の古木の下に広がる、紅い色を含んだ新芽の茶原は幻想的ですらあります。(中晩生の品種のため、桜の花と新芽を同時には残念ながら見られません。)力強い茎は旨味の強さを想像させます。(※茶のパーツとして「茎」の部分は苦渋味の成分が少なく、甘味が強い)。これは使用出来るお湯の温度帯が広いということにつながります。そして、最大の特長は桜をイメージさせる「桜葉」のような香りを持つということです。

 茶葉を多めにして少し低めの湯温でいれるとお茶とは思えない味香りにはいる事もあります。バランスとしては新茶時期よりも火香が落ち着いて甘味が増す頃がより楽しめるのでは?2煎目は爽やかな味にがらりと変わりこれも又、美味しい。作るのは難しいけれど、とても楽しく飲めるお茶と言えます。 

2005年5月11日 石部健太朗



良い道具による充実のティータイム


(c)2000-2005 Nishikien. ALL RIGHTS RESERVED.